今回はコンベアを流れる部品の付け忘れなどを検出して 後工程をスムーズにし 欠陥品出荷をしないための提案です。
前々回の「DEEPSKYから100V電源のON/OFFを行う」でご紹介した NGを発見した場合にブザーが鳴ってコンベアを止める仕組みの応用で、ナットとネジの付け忘れ2品種を同時に検査します。NGでコンベアが止まり、NGを取り除くと動きだす、具体的なDeepSkyを使用した登録設定方法をご案内します。
制作期間:2時間
材料費:2万円
材料・部品
「DEEPSKYから100V電源のON/OFFを行う」の仕組みを使用しました。
工具・備品
- PC[マウスコンピューター/G-Tune, Corei9, 16GB RAM, RTX 2070 SUPER]
- 画像処理ソフト[スカイロジック/DeepSky DS100K]
- IOユニット[スカイロジック/EI-ITIO-T01]
- 130万画素カメラ[Daheng/MER-133-54u3c]
- 12mm レンズ[M1214-MP2]
- カメラスタンド(アルミフレーム)
工具・備品計:90万円程度
カメラ位置とピント、絞りの調節
コンベア上の部材を撮影するためコンベアの斜め上部に設置します。
今回は社内のアルミフレームで組んだカメラスタンドを使用しました。アルミフレームを使用した非常にシンプルなものです。絞りやピントについては記事「絞りの役割」を参考にして下さい。
- アルミフレーム:ミスミ5シリーズ、40mm角
今回はナット2つを「OK」1つ付け忘れを「NG」ネジ2つを「OK」1つ付け忘れを「NG」と想定します。
登録設定
DeepSkyを起動し「新規」から登録していきます。
撮影・アノテーション・学習
DeepSkyの動画マニュアルに従ってOKとNGを10~100箇所程度位置を変えながら撮影します。その後アノテーション(NG部分を囲んで検出対象をソフトに教える作業)を行い、学習を実行します。アノテーションの際にはアノテーション忘れ(囲い忘れる)に注意して下さい。検出率が下がってしまう場合があります。撮影とアノテーションについては記事「プラキャップ黒ブツの検出とコンベアからの排出」も参考にして下さい。
次にネジの撮影・アノテーション・学習します。
今回はラベルを4つ ナットの「OK」「NG」とネジの「OKt」「NGt」で分けています。
上限下限の設定
今回は 上限、下限 OKとOKtは設定しませんでした。上限なく複数あってもよいためです。 NGとNGtは「0」と設定しました。NG判定が0以外でコンベアをストップさせるためです。
撮り溜めた画像でテスト
学習が終わったら教師画像を含む、撮り溜めた画像を読み込んで欠け部分が認識されるかどうか確認します(「設定」→「ファイルから」ボタンで画像を読み込み、「<<」「>>」ボタンで前/次の画像の検出を確認していくことができます。)追学習を実行したりして付け忘れが確実に検出できるようにしてください。問題なければ実際にコンベアを流してテストします。
追学習と調整
実際に運用している中で見逃すNG品があったり、NGではないものを誤検出したりすることがあるかもしれません。その場合、追学習によって見逃したものを覚えさせます。また、異なるNGを学習させることにより、検出対象を増やすこともできます。
今回はナットのすぐ下でアノテーションすると、カメラが真上にくるタイミングでNGをOKと判定することがあったのでミス判定してしまう画像を撮影・ナットの下に余裕をもってアノテーションし、もう一度学習(追学習)させ、どの場所でも正しく判定できるようになりました。ネジの判定をテストすると判定できない向きがあったので、判定できない向きの撮影・アノテーション・追学習してミスをなくし精度を上げることができました。
コンベアに流してテスト
ナット ネジ両方の「OK」「NG」を登録できたのでベルトコンベアに乗せて検査しました。
今回はミス判定なく精度の高い検査ができるようになりNGが映るとブザーが鳴りコンベアが止まりました。
まとめ
定点カメラで連続的にコンベア上を検査することで「NG品をその先に流さない」シンプルな仕組みを応用しました。前回は「虫の検出」を行い今回は「ナットとネジの付け忘れ」を試みましたが、これを応用すれば生産ラインでよくある「入れ間違い」「選び間違い」「貼り間違い」「読み間違い」「見間違い」といったうっかりミスを素早く見付けることができるようになります。
工場の生産効率をあげるためにDeepSky「WEBお試しサービス」をご利用ください。デジカメなどで撮影した良品画像・不良品画像があればお客様ご自身の画像で検出のテストを行って頂けます。