AIを使用した検査ソフト「DeepSky」で鏡面のワークの不良を見つける設定を制作しました。
昨年リリースした「DeepSky」も1周年を迎え、より使いやすくバージョンアップしました。そのほかお客様の要望によりオプションの増設が可能になっています。進化した画像検査ソフトの詳細は弊社までお問合せください。
今回は、鏡面のワークとして反射する素材「CDの裏面」を用い、簡単な設定でブツを検出しています。(上動画)
光を反射するワークは数多く存在します。
画像検査ができないとあきらめている生産技術ご担当者様はいませんでしょうか?
このところ弊社には続々と、ダイカストや鏡面塗装、金属板、ガラス、フィルム素材、ビニールに入ったワークの無料評価の依頼が続いています。 あきらめていたワークでも、もう一度、画像検査をご検討の時期がきています。
コンベア上で光沢のあるワークを見るとキラッと光って見えるポイントが発生します。その光って見える直前や直後の境目にブツやキズ、異物やバリが発見できるエリアが生じます。 このエリアを「撮影&検査」できるように照明を設置して検査します。
塗装ブツの検出(下動画)では、直線蛍光灯を使用しています、今回の動画では1本ですが、平行に2.3本並べると光る部分との境目が複数できます。コンベア上で検出するためには検査ソフトは静止画のコマ撮り撮影となるため
見逃しのない検査を行うためにも直線蛍光灯の本数を増やして検査することをお勧めします。
製作期間:30分
使用したソフトと機器
- 使用ソフト:DeepSky(学習版)
- 視野範囲:160×140mm
- 検査対象の最小サイズ:1mm
- 検査個所数:1ヶ所
- カメラ解像度:130万画素 MER-133-54U3M(Daheng)
- レンズ焦点距離:12mm C125-1218-5M(Basler)
- レンズと製品との距離:約400mm
- 照明:直線蛍光灯 SLG-10WN/8A
- 照明と検査部までの距離:約30mm
カメラ位置とピント、絞りの調節
コンベア上のCDを撮影するため、上部にカメラを設置します。今回は社内のアルミフレームで組んだカメラスタンドを使用しました。 絞りやピントについては記事「絞りの役割」を参考にしてください。
- アルミフレーム:ミスミ5シリーズ、40mm角
- 直角ブラケット:5シリーズ(溝幅6mm)押出厚型ブラケット
- 六角穴付ボルト:M5, 10mm
- フレームナット:5シリーズアルミフレーム用後入れバネナット
新規登録・教師画像の撮影
新規を押下し品種名を登録します。
先に概要でも説明したように、不良が良く見えるエリアに合わせてカメラの向きや角度を調整することが最大のポイントです。ピントや露光時間・絞りを調節して不良が一番はっきり見えるように設置します。
次は教師画像になる写真を撮影します。今回は25枚撮影しました。
アノテーション・学習
DeepSkyの動画マニュアルに従って見つけ出したい不良部分をアノテーションします。
今回はブツを囲います。ワーク(CD)全体を囲うとCDを見つけ出す設定になってしまいますのでご注意ください。
撮影とアノテーションについては記事「プラキャップ黒ブツの検出とコンベアからの排出」も参考にしてください。
今回の学習は教師画像22枚、学習2000ステップです。
縦軸LOSSの値が0.1未満で安定するまで学習を続けてください。PCのスペックによりますが5分~10分程度を要します
撮りためた画像でテスト
学習が終わったら教師画像を含む、撮り溜めた画像を読み込んで欠け部分が認識されるかどうか確認します(「設定」→「ファイルから」ボタンで画像を読み込み、「<<」「>>」ボタンで前/次の画像の検出を確認していくことができます)認識率が低ければ認識点数を調節したり、再学習を実行したりして不良部分が確実に検出できるようにしてください。問題なければ実際にコンベアを流してテストします。
コンベアを流してテスト
コンベアを稼働しDeepSkyの「連続検査」を選択し「検査/監視開始(F5)」を押下します。
ラベル&上限下限の設定
今回の不良は1つでも検出したら不良とするため、上限、下限、共に「0」と入力します。
「0」以外で不合格とする設定です。
追学習と調整
実際に運用している中で見逃す部分があったり、不良ではないホコリなどを誤検出したりすることがあるかもしれません。その場合、追学習によって誤判定したNGやOKを覚えさせます。また、異なる形不良やパターンなどを学習させることにより、検出対象を増やすこともできます。
まとめ
光沢のある一見検査が難しそうなワークを使って、定点カメラで連続的にコンベア上を検査することで「NG品をその先に流さない」ためのシンプルな検査設定を作りました。用途は様々、御社の業界でもきっと活用いただけます。
いままであきらめていた、ハレーションするワークや塗装ブツの検査がありましたら、弊社までお問合せください。