「高画素か、低画素か(2)」で説明したように、産業用カメラには様々なセンサーサイズがあります。一般的には 1/3~1/2インチですが、1インチというサイズもあります。センサーサイズが大きいということは、同じ画素数であればピクセルサイズが大きくなるため:
- ピクセルあたりの受光面積が大きくなり、短い露光時間で撮影できる
- 同じ露光時間であればよりノイズの少ない画像が得られる
- 同じレンズのフォーカス性能であればより鮮明な画像が得られる(1ピクセルのサイズが大きくなるのでフォーカス対象の的(まと)が大きくなると考えると分かりやすいかもしれません)。
というメリットがあります(ただ、センサーサイズが大きいほど作るのにコストがかかるため、サイズに応じて価格も高くなります)。
一点、注意したいことは、「画質を上げるためにセンサーサイズが1/2インチのものから1インチのものに変更したい」といった場合、同じレンズを使っても画角(視野範囲)も変わってしまう点です。
次の図は1/3インチと1インチのセンサーを並べて比較したものです。
上の図のように見た目にも3倍程度の違いがあります。
もし同じレンズで撮影したとすると、それぞれのセンサーに対して全く同じように映像が投影されます。下の図は投影された人物の結像状態を模式的に表したものです。白い矩形はそれぞれのセンサーがカバーしている範囲です。
上の絵から分かるように、センサーがカバーする範囲が異なるため、撮影される画角も異なり、得られる画像は下のように異なります。
このように、同じレンズを使っても小さいセンサーサイズのカメラはより中心部が切り取られたような狭い画角になります。センサーサイズとレンズの焦点距離、視野範囲の関係については カシオ計算機株式会社が運営する「カメラの撮影範囲の計算」で実際に計算できます。
最後に:大きなセンサーの産業用カメラを使う場合、レンズについても注意が必要です。一般的なCマウントレンズは対応しているセンサーサイズが1/2 インチや 2/3インチまでなので、1インチサイズのカメラにこれらのレンズを付けてしまうと「ケラレ」という、画像周辺が暗くなってしまう現象が発生してしまいます。大きなセンサーサイズのカメラを使う場合はレンズもそのサイズに対応しているかどうか確認する必要があります。