「高画素か、低画素か(1)」では高画素カメラが細部まで鮮明に撮影できるメリットについて触れました。ここでは低画素カメラのメリットについて書きたいと思います。
低画素カメラのメリットは一言で言うと「処理が速い」という点です。そして、処理が速い理由として2つの点が挙げられます。
- そもそも画像データとして扱う画素数が少ない
- 露光時間が短くて済むので撮影にかかる時間が短い
1 については特に疑問の余地はないと思います。では、2の「露光時間が短くて済む」のはなぜでしょうか?これについて説明します。
カメラのセンサー(冒頭の写真に写っている四角の受光部分)のサイズは様々ですが、産業用カメラでは5mm角から7mm角くらい程度のものが一般的です(1/3インチ~1/2インチ)。しかしながら「高画素か、低画素か(1)」で触れたように、画素数のバリエーションは30万画素程度から1400万画素程度まで様々です。
この時、ピクセルのサイズにはどのような違いがあるのでしょうか?
仮に同じセンサーサイズ(横方向に6mm)で30万画素(横方向に640pixel)と1400万画素(横方向に4600pixel)のカメラがあるとします。この時、30万画素のカメラのピクセルサイズは一辺 6mm/640 = 9.4um/pixelです。同様に1400万画素のカメラのピクセルサイズは 6mm/4600 = 1.3um/pixelです。
露光時間はセンサーのピクセルが受ける光エネルギーに反比例します。また、ピクセルが受ける光エネルギーはピクセルの「面積」に比例しますので、先ほどの2つのカメラで比較すると 9.4^2 : 1.3^2 = 88 : 2 という非常に大きな違いになります( 実際は 30万画素は 1/3インチ、1400万画素は 1/2インチが一般的に使われるためもう少し差は小さくなります)。
これを模式的に表すと下のような図になります。
このように、データサイズと露光時間の両面から低画素カメラはよりリアルタイム性の高いカメラということができます。カメラを選定する際には、それぞれの用途に合わせて丁度良い画素数のカメラを選択することをお勧めします。